花見んと 植えけん人も なき宿の 桜は去年の
春ぞ咲かまし
大江嘉言
(はなみんと うえけんひとも なきやどの さくらは
こぞの はるぞさかまし)
意味・・花を見ようと思って、植えた人が亡くなった
この家の桜は、去年の春に咲いたらよかった
であろうに。
ある人が桜を植えたその後に亡くなってしま
った。その翌年、初めて花が咲いたのを見た
友人である嘉言(よしとき)が詠んだ歌です。
親しかった人の生前の願いが、その人の死後
に実現した時の悔しさ、嘆きを詠んでいます。
作者・・大江嘉言=おおえのよしとき。1010年没。津
島守。中古三十六歌仙。
出典・・新古今和歌集・763。