ひさかたの 光のどけき 春の日に 静心なく
花の散るらむ
                 紀友則

(ひさかたの ひかりのどけき はるのひに しずこころ
 なく はなのちるらん)

 注・・ひさかたの=天・空・日・月などにかかる枕詞。
    静心(しずこころ)=落ち着いた心。

意味・・春の陽射しはのどかにゆきわたっているのに、
    どうして桜の花はそわそわと散り急ぐのだろうか。

    のどかな春、のどかに咲いた桜の花。いつまでも
    このままであってほしい。

作者・・紀友則=きのとものり。生没年未詳。貫之とは従兄
     弟に当たる。古今集の撰者であったが完成前に没
     した。

出典・古今和歌集・84、百人一首・33。