筏士よ 待て言問はむ 水上は いかばかり吹く
山の嵐ぞ
                  藤原資宗

(いかだしよ まてこととわん みなかみは 
 いかばかりふく やまのあらしぞ)

 注・・筏士=筏をあやつることを職業としている人。
       筏は木や竹を並べつないで、流れに
       浮かべるもの。

意味・・筏で川を下っている人よ、ものを尋ねたい。
    この川の上流ではいったいどのくらい激しく
    山の嵐が吹いているのかを。

    殿上人(てんじょうびと)たちとともに、
    大堰川(おおいがわ)に遊んだ折、「紅葉
    水に浮かぶ」の題で詠んだ歌です。
    この歌の面白さの一つは、「紅葉」の語を
    使わずに筏師に紅葉を散らす山の嵐の状態
    を問うことで、川に浮かぶ紅葉の情景を
    喚起する点にあります。

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    資宗(すけむね)の潜在意識としてあるのは、
    結果を知ってその原因となった状況を知り
    そして、次に起こるべきことを予測して
    次の策を打つ。
    すなわち、一葉落ちて天下の秋を知るです。

作者・・藤原資宗=ふじわらのすけむね。生没年未詳。
     正四位下・右馬頭となったが1087年出家。  

出典・・新古今和歌集・554。