蓮葉の 濁りに染まぬ 心もて なにかは露を 
玉とあざむく
                   遍昭

(はちすばの にごりにしまぬ こころもて なにかは
 つゆを たまとあざむく)

意味・・蓮の葉は泥水のなかに生えながら濁りに染まらない
    清らかな心を持っているのに、その心でどうして
    葉の上に置く露を玉と見せて人をだますのか。

    上句は法華経の経文(世間の法に染まらざること
    蓮華の水にあるがごとし)による。
    露を玉とみる典型的な見立ての伝統を踏まえ、清浄
    の象徴である蓮が欺く、と意表をついた表現が趣向。

作者・・遍昭=へんじょう。816~890。従五位上・蔵人頭。
     出家後僧正になる。

出典・・古今和歌集・165