われと来て 遊べや 親のない雀   小林一茶

(われときて あそべやおやの ないすずめ)

意味・・親のない雀よ、お前も寂しいだろう。
    おれも親なし子で、寂しくてしょうがない。
    こっちに来て遊ばないか。


出典・・おらが春。

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麦秋や 子を負ひながら いはし売り  小林一茶

(むぎあきや こをおいながら いわしうり)

 注・・いはし売り=いわしは小魚で値段も安く、
    売ってもいくらも金にならない。
    そんな魚を背負って、麦の収穫期めあてに
    山村を売り歩く哀れさを出している。

意味・・黄色く熟した麦畑の中の道を、笠を被った
    越後女が子供を背負った上に、天秤棒をかつ
    いでいわしを売り歩く。その姿はいかにも
    あわれである。

出典・・おらが春。

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月花や 四十九年の むだ歩き   小林一茶

(つきはなや しじゅうくねんの むだあるき)

意味・・私は長い間、旅をしながら俳句ずくりに
    専念して来たものだ。
    なかでも、上記の二句のように、世間の
    苦しみや悲しみを見て詠んで来た。
    だが、俳句に詠んだもののそれだけで
    良いのであろうか。
    問題解決となれば難しいことだが。
    じっさい、自分自身の生活も出来ずに
    悩んでいる状態だ。(この歳になっても
    結婚できない)
    自分の人生はむだ歩きなのだろうか。

   (一茶は50過ぎになって、財産分与され
    結婚した。)

出典・・七番日記。

作者・・小林一茶=こばやしいっさ。1763~1827。
     長野県柏原の農民の子。三歳で生母に
     死別。継母と不和のため十五歳で江戸
     に出て奉公生活の辛酸をなめた。亡父
     の遺産をめぐり継母と義弟との長い抗
     争が続く。五十一歳で郷里に帰り結婚
     した。