大和には 群山あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち
国見をすれば 国原は 煙立ち立つ       舒明天皇

(やまとには むらやまあれど とりよろう あまのかぐやま
 のぼりたち くにみをすれば くにはらは けむりたちたつ)

 注・・群山=たくさん群がっている山々。
    とりよろふ=山としてりっぱにそなわり整っている。
    香具山=奈良県桜井市にある山。
    国見=高い所に登って国の形勢や民の生活を望み見る事
    国原=国土の広く平らな所。大和平野のこと。
    煙立ち立つ=煙があちらからもこちらからもしきりに
       立ちのぼる。「煙」は炊事をする煙。炊煙が多い
       のは、施政が行き届いて、民が富み栄えている事
       を示す。

意味・・大和の国には多くの山々があるけれど、中でも立派に
    そなわり整った天の香具山よ。その山に登り立って国見
    をして見ると国の広い所には煙があちらに立ちこちらに
    立ちしている。

    高い所から見下ろした壮大な景観が描かれ、炊飯の煙に
    庶民の繁栄が賛美されています。