山里の 春の夕暮れ 来てみれば 入相の鐘に 花ぞ散りける
                        能因法師

(やまさとの はるのゆうぐれ きてみれば いりあいの
 かねに はなぞちりける)

 注・・入相(いりあい)の鐘=夕暮れに寺でつく鐘、晩鐘。

意味・・春の夕暮れ時、山里へ来て見ると、山寺の入相の
    鐘の響きとともに桜の花が散っていたことだよ。

    落花のほかに動くもののない、静かで物寂しい
    美しさを詠んだ歌です。