行く年の をしくもあるか ます鏡 みる影さへに くれぬと思へば
                      紀貫之(きのつらゆき)

(ゆくとしの おしくもあるか ますかがみ みるかげさえに
 くれぬとおもえば)

意味・・暮れ行く年というものは実に名残惜しく思えてなりません。
    なぜかといいますと、朝夕手に取っている明鏡に映る私の
    姿までがひとしお暗(く)れる・暮れるように思われますので。

    鏡を見て、年々老いて行く自分の姿の自覚とその寂しさを
    年の瀬の名残惜しさとに結びつけたものです。

 注・・行く年=去って行く年。
    ます鏡=真澄の鏡、よく澄んでいる鏡。
    影=水や鏡に映る姿。
    くれぬ=「暮れぬ」と「暗れぬ」を掛ける。「暗れぬ」は
      姿が暗くなる・醜くなるの意。