月やあらぬ 春や昔の 春ならぬ わが身ひとつは 
もとの身にして      
                在原業平
           
(つきやあらぬ はるやむかしの はるならぬ わがみ
 ひとつは もとのみにして)

意味・・この月は以前と同じ月ではないのか。春は去年の春と
    同じではないのか。私一人だけが昔のままであって、
    月や春やすべてのことが以前と違うように感じられる
    ことだ。

    しばらく振りに恋人の家に行ってみたところ、すっかり
    変わった周囲の光景(すでに結婚している様子)に接して
    落胆して詠んだ歌です。

作者・・在原業平=ありわのらなりひら。825~880。従四位・
    美濃権守。

出典・・古今和歌集・747。伊勢物語四段。