12/1  唇の さむきのみかは 秋のかぜ 聞けば骨にも
    徹るひとこと              橘曙覧
12/1  物いへば 唇さむし 秋の風      芭蕉
12/2  内日さす 都のてぶり 東山 寝たる容儀 
    いひつくしけり            橘曙覧
12/2  蒲団着て 寝たる姿や 東山      嵐雪
12/3  荒磯海の 浜の真砂を頼めしは 忘るることの
    数にぞありける            読人知らず
12/4  堀江漕ぐ 棚なし小舟 漕ぎかへり おなじ人にや
    恋ひわたりなん             読人知らず 
12/5  ゆく水の ゆきてかへらぬ しわざをば いひてはくゆる
    鴨の川岸               橘曙覧
12/6  里人の 裾野の雪を 踏み分けて ただ我がためと
    若菜つむらむ             後鳥羽院
12/7  泣く涙 雨と降らなむ 渡り川 水まさりなば
    帰り来るがに             小野たかむら
12/8  たわむれに 母を背負ひて そのあまり 軽きに泣きて
    三歩あゆまず             石川啄木
12/9  つれづれと あれたる宿を ながむれば 月ばかりこそ
    むかしなりけれ            藤原伊周
12/10  鵜飼舟 高瀬さし越す ほどなれや むすぼほれゆく
    篝火の影               寂蓮法師
12/11  朝露に 競ひて咲ける 蓮葉の 塵に染まざる
    人の尊さ               良寛
12/12  ぬばたまの 夜の更けゆけば 久木生ふる 清き川原に
    千鳥しば鳴く             山部赤人
12/13  朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれたる 
    瀬々の網代木             藤原定頼
12/14  道のべの 清水流るる 柳陰 しばしとてこそ
    立ち止まりつれ            西行
12/14  田一枚 植えて立ち去る 柳かな    芭蕉 
12/15  秋さらば 見つつ偲べと 妹植えし やどのなでしこ
    咲きにけるかも            大伴家持