1/16 多摩川に さらす手作り さらさらに 何そこの児の
   ここだに愛しき            読人知らず
1/17 紀の国や 由良の湊に拾ふてふ たまさかにだに
   あひ見てしがな            藤原長方
1/18 浪もなく 風ををさめし 白河の 君のをりもや
   花は散りけん             西行法師
1/19 梅一輪 一輪ほどの 暖かさ      服部嵐雪
1/20 埼玉の 池のみぎはや こほるらむ 鴨の羽音の
   遠ざかりゆく             橘千蔭
1/21 隅田川 蓑着て下す 筏士に 霞むあしたの
   雨をこそ 知れ            橘千蔭
1/22 見れど飽かぬ 吉野の川の 常滑の 絶ゆることなく
   またかへり見む            柿本人麻呂
1/23 春遠く ああ長崎の 鐘の音      江国滋
1/24 芦の屋の 灘の塩焼き いとまなみ 黄楊の小櫛も
   ささずに来にけり           在平業平
1/25 わが庵は 三輪の山もと 恋しくは とぶらひ来ませ
   杉立てる角              読人知らず
1/26 黄葉の 散りゆくなへに 玉梓の 使いを見れば
   逢ひし日思ほゆ            柿本人麻呂
1/27 我が雪と 思へば 軽し 笠の上    宝井其角
1/28 ゆほびかに たけはた高し よきをうな なやめるところ
   なしといはまし            橘曙覧
1/29 我とわが こころのうちに 語らへば ひとりある日も
   友はあるもの             橘曙覧
   かきたてて 見ぬ世の人を ともしびの 影とならびの
   岡のつれづれ             元木網
1/30 世の中を なにに譬へん ぬばたまの 墨絵に描ける
   小野の白雪              良寛
1/31 やはらかに 人分け行くや 勝角力   高井几薫