樫の木の 花にかまはぬ 姿かな   芭蕉(ばしょう)

(かしのきの はなにかまわぬ すがたかな)

意味・・春の百花は美しさを競っているが、その中で
    あたりにかまわず高く黒々とそびえる樫の木
    は、あでやかに咲く花よりもかえって風情に
    富む枝ぶりであることだ。

    前書きは「ある人の山家にいたりて」。
    山荘の主人が世の栄華の暮らしに混じること
    なく、平然として清閑を楽しんでいるさまを
    樫の木の枝ぶりに例えて挨拶として詠んだ句。