この三朝 あさなあさなを よそほひし 睡蓮の花 
今朝はひらかず          土屋文明(つちやぶんめい)

(このみあさ あさなあさなを よそおいし すいれんのはな
 けさはひらかず)

意味・・この三日ほどの朝ごとに、美しい花を装(よそ)う
    ように咲かせていた睡蓮が、今朝はもう開こうと
    しない。つかの間の花の命の短いことだ。
   
    下記の親鸞の歌と同じ思いです。

 「明日ありと 思う心の仇桜 夜半に嵐の 吹かぬものかは」

    今日は美しく咲き誇っている桜だが、明日もまだ
    見られるだろうと思っていても、その夜のうちに
    強い風を受けて散ってしまうかもしれない、の意。

    未来の不確実さ、人生の無常を説いたものです。 

 注・・三朝=三日ほどの朝。
    あさなあさな=朝ごと、毎朝。
    よそほひ=飾り整える、化粧する。睡蓮の花を
       擬人化している。
    睡蓮=蓮の花。
    無常=いつも変化している事。全ての物が生滅
       変転してとどまらない事。