浮世には かかれとてこそ うまれたれ ことわりしらぬ
我が心かな       北条重時(ほうじょうしげとき)

(うきよには かかれとてこそ うまれたれ ことわりしらぬ
 わがこころかな)

意味・・憂さ辛さのあるのも浮世なら、楽しみがあるのも
    浮世である。我々、人間はその浮世に寄り掛かっ
    て住んで行けと神仏の思召しに従って生まれたの
    である。それゆえ、悲しみもあれば苦しみもある
    ものだ。この道理を知らなかった自分は、あさは
    はかだった。浮世の常を知れば、何も自分ばかり
    が苦しいのでも、辛いのでもないのだ。

    北条重時が家訓で次のような事を言った時に詠ん
    歌です。
    思わぬ失敗をしたり、不慮の災難に遭ったりなど
    して嘆かわしい事が起こったとしても、むやみと
    嘆き悲しんではなりませぬ。これも前世の報いだ
    と思って、早くあきらめなさるがよい。それでも
    悲嘆の心がやまぬならば、上記の歌を口づさみ、
    唱えていると、自然に嘆きの心も忘れて行くだろ
    う。

 注・・浮世=思いのまま楽しんで過ごす世の中。憂き世
       を掛ける。
    憂き世=辛い世の中、苦しみの満ちた世の中。
    かかれ=寄りかかる、つながりが出来る。