若竹の 生い行く末を 祈るかな この世を憂しと いとふものから
                  紫式部(むらさきしきぶ)

(わかたけの おいゆくすえを いのるかな このよをうしと
 いとうものから)

意味・・いやなことばかりの世の中。でも今はこの子が
    若竹のようにすくすく生きてくれますようにと
    ひたすら祈ります。

    幼児が熱をだしたので、疫病の兆候ではないか
    と心配して、祈って詠んだ歌です。

 注・・若竹=その年に生えた竹。ここでは我が児を暗
       示している。筍の皮がすっかりなくなった
       頃の竹。
    憂し=つらい、憂鬱。
    いとふ=厭う、嫌う。