思へただ 花の散りなん 木のもとに 何をかげにて
わが身住みなん           西行(さいぎょう)

(おもえただ はなのちりなん このもとに なにを
 かげにて わがみすみなん)

意味・・桜の花よ、お前が散ってしまったら、その木の
    下で今後何を頼りに自分は住もうか、もはや陰
    とたのむべき何物もないことを思ってどうか散
    らないで欲しい。

    花が散ってしまった後では自分はどんな木陰に
    住んでも心が休まることがない。すなわち時代
    が変わってしまって、昔の美意識や価値観のま
    ま取り残されてしまった、という自分の悲哀を
    詠んだ歌です。

 注・・花=「今まで被っている恩恵」を花にたとえて
      います。