橘の にほふあたりの うたた寝は 夢も昔の
袖の香ぞする 
      藤原俊成の女(ふじわらのとしなりのむすめ)

(たちばなの におうあたりの うたたねは ゆめも
 むかしの そでのかぞする)

意味・・橘の花の香が薫るあたりでのうたた寝は、
    夢の中でも昔親しかった人の袖の香りが
    することだ。

    橘の香りと夢により、昔の恋が一瞬よみ
    がえった情感を詠んでいます。本歌は「
    五月まつ花橘の香をかげば昔の人の袖の
    香ぞする」です。(意味は下記参照)

 注・・昔の袖の香=昔の人の袖の香。

本歌です。

五月まつ 花橘の 香をかげば 昔の人の 
袖の香ぞする         読人知らず 

(さつきまつ はなたちばなの かをかけば むかしの
 ひとの そでのかぞする)
 
意味・・五月を待って咲く橘が早くも咲いて、その香り
    が匂ってくる。それは昔親しかったあの人の袖
    の香りが思いだされる。

    香りを通じて思い出されてくる懐かしさを詠じた
    ものです。

 注・・五月まつ=五月になって咲く。
    花橘=橘の花。
    袖の香=今様で言えば香水の香り。