めづらしき 光さしそふ さかづきは もちながらこそ
ちよもめぐらめ       紫式部(むらさきしきぶ)

(めずらしき ひかりさしそう さかずきは もちながら
 こそ ちよもめぐらめ)

詞書・・後一条院がお生まれになってお七夜に
    人々が参会して、女房に杯を出せと言
    われて詠んだ歌です。

意味・・新たに美しい栄光がさし加わったよう
    なこの若宮のご誕生日のご祝宴の杯は、
    下にもおかず、つぎつぎと手から手へ
    と捧げ持ちながら、望月同様、欠ける
    事なく、千代まで経めぐることでござ
    いましょう。

    祝賀の歌です。

 注・・後一条院=1008~1036。29歳。68代
      天皇。
    七夜=子供が生まれて七日目の祝いの夜。
    めづらしき=賞美するのにふさわしい。
      すばらしい。目新しい。    
    さかづき=「杯」に「栄月」を掛ける。
    もちながら=「持ちながら(杯を手に持っ
      たままで)」と「「望(月)ながら(望
      月のままで)」を掛ける。
    めぐらめ=順繰りにすすむ、時が経過する。