我かくて 憂き世の中に めぐるとも たれかは知らむ
月の都に              源氏物語・浮舟

(われかくて うきよのなかに めぐるとも たれかは
 しらん つきのみやこに)

詞書・・不本意ながら生き長らえて(三角関係に苦悩
    して自殺をはかるが助けられて)、小野の地
    で月を見て詠む。

意味・・私がこうして情けない世の中に巡り巡って、
    生き長らえて月を見ているとは、同じ月が
    照らしているであろう都では誰が知るだろ
    うか。

    自殺を図って助けられたが、苦悩は去らず
    困惑している気持ちを誰も知ってくれる人
    はなく、寂しく月を見ている気持ちを詠ん
    でいます。    
   
 注・・小野=京都市左京区上高野から大原の地。