身をつめば 入るもをしまじ 秋の月 山のあなたの
人も待つらん      永源法師(えいげんほうし)

(みをつめば いるもおしまじ あきのつき やまの
 あなたの ひともまつらん)

意味・・「我が身をつねって人の痛さを知る」という
    わけで、月の入るのも惜しいとは思うまい。
    この美しい秋の月を山の向こう側の人も、私
    同様に待っているだろうから。

 注・・身をつめば=身を抓めば、我が身を抓(つ)ま
      んで人の痛さを知るの意。
    入るもおしまじ=月が山の陰に隠れても惜し
      まない。

作者・・永源法師=生没年未詳。観世音寺の僧。