年へぬる 秋にもあかず 鈴虫の ふりゆくままに
声のまされば     藤原公任(ふじわらのきんとう)

(としへぬる あきにもあかず すずむしの ふりゆく
 ままに こえのまされば)

意味・・幾年も経った秋にもいやにならない事だ。
    鈴虫は鈴を振るように鳴いて、年老いて
    行くにつれて声がよりよくなるのだから。

    自分自身の気持ちであり、年々良くなっ
    て行く我が人生の喜びを詠んでいます。   

 注・・としへぬる=年経ぬる。幾年も経た。
    ふりゆく=鈴を振って鳴く「振り」と
      年老いるの「古り」を掛ける。

作者・・藤原公任=966~1041。正二位権大納言。
      「和漢朗詠集」等の和歌の編著も多い。
      中古三十六歌仙の一人。