すむとても いくよもあらじ 世の中に くもりがち
なる 秋の夜の月  藤原公任(ふじわらのきんとう)

(すむとても いくよもあらじ よのなかに くもり
 がちとなる あきのよのつき)

題意・・仲秋の八月、月が雲に隠れたのを見て
    詠んだ歌。

意味・・月がよく澄むといっても幾夜もあるまい。
    雲に隠れて光を失うことの多い秋の夜の
    月なのだ。
    (人がこの世に住むといってもそう長くは
    あるまい。人生もいろいろ支障が多く心身
    をそこなうものだ)。

 注・・すむとてもいくよもあらじ=月が澄むとい
      っても幾夜もあるまい。人がこの世に
      住むといっても幾世もあるまい。
    くもりがちなる=雲に隠れて光を失う事が
      多い。人も色々と支障が多い。

作者・・藤原公任=966~1041。正二位権大納言。
      「和漢朗詠集」等の和歌の編著も多い。
      中古三十六歌仙の一人。