朝ゆふに 思ふこころは 露なれや かからぬ花の
うへしなければ     良暹法師(りょうせんほうし)

(あさゆうに おもうこころは つゆなれや かからぬ
 はなの うえしなければ)

題意・・野の花を思う。

意味・・朝(あした)に夕べに秋野の花を思う私の心は
    たとえて言えば露であろうか。露のかからな
    い花のないように、心の懸からない花の上は
    ひとつもないので。

 注・・露なれや=露であるからであろうか。
    かからぬ=心の「かからぬ」と露の「かからぬ」
      を掛ける。
    花のうへしなければ=花の上は一つもないの
      で。「し」は上接する語を強調したり指示
      する。

作者・・良暹法師=生没年未詳。1048頃の人。雲林院
      の歌僧。