あらたまの 年の緒長く 我が思へる 子らに恋ふべき
月近づきぬ     藤原清河(ふじわらのきよかわ)

(あらたまの としのおながく わがおもえる こらに
 こうべき つきちかづきぬ)

意味・・長の年月、変ることなく私がずっと愛
    (いと)しんできた人、その人と離れて
    恋しく思わずにいられなくなる月が、
    今や近づいて来た。

    遣唐使として出航する前の余裕のある
    時期に、出航後の心情を詠んだ歌です。

 注・・あらたま=「年」の枕詞。
    年の緒=年が長く続くのを緒にたとえ
      ていう語。
    子=親しみを込めて相手を呼ぶ語。
      男女ともにいう。

作者・・藤原清河=705~778。従四位・参議。
      天平18年(746)遣唐使を拝命。
      入唐するが帰朝出来なかった。