身に近く 来にけるものを 色変る 秋をばよそに
思ひしかども 
      六条大臣室(ろくじょううだいじんのしつ)
(みにちかく きにけるものを いろかわる あきをば
 よそに おもいしかども)

意味・・身に近く来てしまったことだ。草木の色
    変る秋を、かかわりのないものと思って
    いたけれど。

    男の飽き心に気づいた嘆きの心を詠んだ
    歌です。
    本歌は「身に近く秋や来ぬらむ見るまま
    に青葉の山もうつろひにけり」(源氏物語)。
    (意味は下記参照)

 注・・色変る=草木の色の変る秋。男の心変わ
     りを暗示。
    よそに=関係の無いもの。

作者・・六条大臣室=生没年未詳。

本歌です。

身に近く 秋や来ぬらむ 見るままに 青葉の山も
うつろひにけり         源氏物語・若菜

意味・・身に近く秋が来たのでしょうか(私も飽かれ
    る時になったのかしら)。見ているうちに、
    青葉の山も紅葉に色変わりしてしまった。

    紫の上が光源氏の飽き心を嘆いた歌です。