わがまたぬ 年は来ぬれど 冬草の かれにし人は
おとづれもせず 
         凡河内躬恒(おうしこうちのみつね)

(わがまたぬ としはきぬれど ふゆくさの かれにし
 ひとは おとずれもせず)

意味・・私が待ってもいない新年はもはや目の先
    まで来てしまったが、今時の枯葉同様に
    離(か)れてしまったお方は、訪問はおろか
    お手紙も下さらない。

    老人となったことを意識した歌です。

 注・・冬草の=「かれ」に掛かる枕詞。
    かれ=「枯れ」と「離れ」を掛ける。
    おとづれ=便りをする。訪問をする。

作者・・凡河内躬恒=生没未詳、900年前後に活躍
     した人。新古今集の撰者。