東路の 道の冬草 茂りあひて 跡だに見えぬ 
忘水かな      康資王母(やすすけおうのはは)

(あずまじの みちのふゆくさ しげりあい あとだに
 みえぬ わすれみずかな)

意味・・東国の道の冬草が茂りあって、人の足跡
    さえ見えないような忘れ水であることよ。

    草深い東国の忘れ水に、東国にいて都の
    友から忘れられる自分を暗示した歌です。

 注・・東路=東国。関東地方。
    跡だに=人の足跡さえ。手紙も貰えない
     ことを暗示している。
    忘水=野中に隠れて人に知られない水。
     作者自身を暗示している。

作者・・康資王母=生没年未詳。筑前守高階成順
     の娘。