濁りなき 亀井の水を むすびあげて 心の塵を
すすぎつるかな    藤原彰子(ふじわらのあきこ)

(にごりなき かめいのみずを むすびあげて こころの
 ちりを すすぎつるかな)

詞書・・天王寺の亀井の水をご覧になって。

意味・・濁りの無い亀井の水を手にすくいあげて飲んで、
    心の穢(けが)れを洗い清めたことだ。

    霊水に触れて、心の煩悩の穢れを洗い清められた
    思いのさわやかさを詠んでいます。

 注・・天王寺=四天王寺。大阪市天王寺区元町にある。
    亀井の水=四天王寺の境内にあった石造りの亀
     から湧き出た霊水。
    むすび=手ですくう。
    心の塵=心の穢れ。
    すすぎ=濯ぎ。水で洗い清める。罪や恥を清める。

作者・・藤原彰子=1074年没。87歳。一条天皇の中宮。
     紫式部・和泉式部などの才媛女房を輩出した。