梅散るや難波の夜の道具市
            建部巣兆(たけべそうちょう)

(うめちるや なにわのよるの どうぐいち)

意味・・かって栄えた人々が生活に窮して手放した
    由緒ある家具・小道具などが、夜の灯を浴
    びて売られている。美しい道具類が、灯火
    にあってますます古めかしくも上品なもの
    に見える。梅の花がはらはらと、売る人、
    買う人、売られる道具の上に散りかかり、
   「商業」というものが、ふと美しく、悲しく
    寂しいものに思われてくる。

    内容は違うが似ている句に、蕪村の次の句
    があります。
   「秋の灯やゆかしき奈良の道具市」
    (意味は下記参照)
   
 注・・難波=大阪。古い歴史の町でり、活況を呈
     する商業都市でもある。
    道具市=古道具をせり売りする市。夜間営業
     が多い。

作者・・建部巣兆=1761~1814。本名山本英親。加舎
     白雄(かやしらお)門。蕪村風の絵も描く。

参考句です。

秋の灯や ゆかしき奈良の 道具市    蕪村(ぶそん)

(あきのひや ゆかしきならの どうぐいち)

意味・・古都奈良の、とある路傍に油灯をかかげる古道具
    の市が出ている。さすがに仏都にふさわしく、仏像
    やさまざまな仏具も混じっていて、これらの品々に
    は年輪を得た古趣が感じられ、立ち去りがたい奥ゆ
    かしさがあるものだ。