遠江 引佐細江の みおつくし 我れを頼めて 
あさましものを        読人知らず

(とおとうみ いなさほそえの みおつくし われを
 たのめて あさましものを)

意味・・遠江の引佐細江の海の標識は、すっかり私を
    安心させておいて、本当は海が浅くて大変な
    ことだ。

    一旦はなびくように見せかけていた女性が、
    心変わりしたのを嘆く比喩の歌です。

 注・・遠江(とおとうみ)=都に遠い淡海の意。静岡
     県の西部。
    引佐細江=静岡県引佐郡細江町にある浜名湖
     の入江。
    みをつくし=水脈標。川や入江を行く舟の航路
     標識として立てた杭。ここでは女性に譬えて
     いる。「身を尽くす」を掛ける。
    頼めて=頼りに思わせて。
    あさまし=あきれたことだ、嘆かわしい。浅い
     を掛ける。