なにごとを 春のかたみに おもはまし けふ白河の
花見ざりせば    伊賀少将(いがのしょうしょう)

(なにごとを はるのかたみに おもわまし きよう
 しらかわの はなみざりせば)

意味・・もし、今日白河で花見をしなかったら、何を
    もって過ぎ行く春のかたみと思いましょうか。
    かたみとなるものが無かったでしょう。白河
    の花見が、今年の春のよい思い出になりまし
    た。

 注・・春のかたみ=春の記念。「かたみ」は過ぎ去
     ったことの面影をしのばせるもの。
    思はまし=思うだろうか。「まし」はもし・・
     だったら・・だろう。

作者・・伊賀少将=生没年未詳。従五位藤原顕長(あき
     なが)の女(むすめ)。父の国名をとって伊賀
     少将と号する。