暮れてゆく 春のみなとは 知らねども 霞に落つる
宇治の柴舟       寂連法師(じゃくれんほうし)

(くれてゆく はるのみなとは しらねども かすみに
 おつる うじのしばふね)

意味・・終わりになって去っていく春の行き着く所は
    知らないが、今、霞の中に落ちるように下っ
    ていく宇治川の柴舟とともに、春が去って行
    く感じがする。

    霞がかかり長閑な宇治川の柴舟に、去り行く
    春の寂しさを詠んでいます。

 注・・暮れてゆく=春がだんだん終わりに近づいて
     いく。
    春のみなと=春の行き着く所。
    宇治の柴舟=宇治川を下る、柴を積んだ舟。    

作者・・寂連法師=1139~1202。従五位上・中務小輔。
     33歳頃に出家する。「新古今集」の撰者。