春みじかし 何に不滅の 命ぞと ちからある乳を
手にさぐらせぬ     
             与謝野晶子(みだれ髪)

(はるみじかし なににふめつの いのちぞと ちから
 あるちちを てにさぐらせぬ)

意味・・春は短く、若い命も短く過ぎる。この世に
    滅びない永遠の命があろうかと、若い力の
    みなぎる乳房を手にさぐらせた。

    春は短いものです。人も同じ。生の盛りも
    あっという間に過ぎ去ってゆくものですよ、
    「不滅のいのち」を探るなどと何をそんな
    空(くう)をつかむような事ばかり論じてい
    らっしゃるのですか。この確かな熱い血の
    通う肉体こそがすべてではありませんか。
    そう言ってあなたの手をとり、力に充ちた
    乳房を探らせたのだった。

作者・・与謝野晶子=1878~1942。歌集「みだれ髪」。