願はくは われ春風に 身をなして 憂ある人の
門をとはばや    佐々木信綱(ささきのぶつな)

(ねがわくは われはるかぜに みをなして うれい
 あるひとの かどをとわばや)

意味・・願うことには、どうか我が身をかろやかな春
    風と化して、憂いを抱いている人の門べに訪
    れて、その悲しみの気持ちをまぎらわしてあ
    げたいものだ。

    作者の自注に「人の心の深く秘められた憂悶
    を春けることは、歌道の徳の一つであるとい
    う当時の信念から歌ったものである」とあり
    28歳の時の作です。

作者・・佐々木信綱=1872~1963。東京帝大古典科卒。
     「校本万葉集」他。