山城の 石田の森の いはずとも こころのうちを
照らせ月かげ    藤原輔尹(ふじわらのすけただ)

(やましろの いわたのもりの いわずとも こころの
 うちを てらせつきかげ)

意味・・山城の石田の神社の森を照らす月は、何も言わ
    ないでも、私の心の中を照らし出して欲しい。
    その月明かりよ。

    誰か私の悩み事を聞いて欲しい、という気持ち
    です。
    
    山城の守(かみ)になって嘆いている時、月が輝
    いている頃、いかがですかと問われて詠んだ歌
    です。

    中世の山城国は戦乱が繰り返される中、「宮座」
    という自治組織が生まれ集団で農事や神事また
    一揆にあたっていた。
    そのため、山城は治めにくい国といわれた。
    輔尹はその後1006年に山城国を辞任した。

 注・・山城=京都府の南部一帯。
    石田の森=山城国の歌枕。神社があった。
     「いはたの森」の同音で「いはず」を導く。

作者・・藤原輔尹・・生没年未詳。山城守・大和守。
     従四位下。