たち変り 古き都と なりぬれば 道の芝草 
長く生ひにけり   田辺福麻呂(たなべのさきまろ)
            (万葉集・1048)
(たちかわり ふるきみやこと なりぬれば みちの
しばくさ ながくおいにけり)

意味・・すっかり様子が変わって古い都になってしまった
    ので、行き来する者もなく、道の雑草も長く延び
    てしまったことだ。

    「あおによし奈良の都は咲く花の薫ふがごとく今
    盛りなり」と詠まれた平城京も、740年の遷都で
    すっかり荒廃した嘆きを詠んでいます。また、万
    物流転の姿を観て哀愁を漂わせています。

 注・・たち変り=すっかり変る。「たち」は意味を強め
     る接頭語。

作者・・田辺福麻呂=生没年未詳。万葉集の代表的歌人。

参考歌です。

あおによし 奈良の都は 咲く花の 薫ふがごとく 
今盛りなり          小野老(おののおゆ)
                (万葉集・328)

(あおによし ならのみやこは さくはなの におう
 がごとく いまさかりなり)

意味・・奈良の都は、咲いている花が色美しく映える
    ように、今や盛りをきわめている。

    華やかな都を賛美した歌です。

 注・・あおによし=奈良に掛る枕詞。
    薫ふ(にほふ)=色が美しく照り映える。

作者・・小野老=~737。太宰大弐従四位。