朝ゆふに 思ふこころは 露なれや かからぬ花の
うへしなければ     良暹法師(りょうせんほうし)
              (後拾遺・330)

(あさゆうに おもうこころは つゆなれや かからぬ
 はなの うえしなければ)

意味・・朝に夕に野の花を思う私の心は、たとえていえば
    露であろうか。露のかからない花がないように、
    心の懸(か)からない花の上は一つもないので。

 注・・露なれや=露であるからであろうか。
    かからぬ=「心の懸からぬ」と「露のかからぬ」
     を掛ける。
    花のうへしなければ=花の上は一つもないので。
     「し」は強調の係助詞。

作者・・良暹法師=生没年未詳。1048年頃に活躍した歌僧。