夏の野の 茂みに咲ける 姫百合の 知らえぬ恋は
苦しきものぞ      
            坂上郎女(さかのうえいらつめ)
              (万葉集・1500)

(なつののの しげみにさける ひめゆりの しらえぬ
 こいは くるしきものぞ)

意味・・夏の野の草むらにひっそり咲いている姫百合の
    ように、あの人に知ってもらえない恋は何とも
    苦しいものだ。

    片思いの切なさを詠んでいます。

 注・・姫百合の・・=姫百合が夏草の深い茂みにおお
     われ人に気づかれない。「姫百合」は百合の
     一種。朱色の小さな花を咲かす。

作者・・坂上郎女=~750頃。大伴旅人の異母妹。