夕煙 今日はけふのみ たてておけ 明日の薪は
あす採りてこむ

               橘曙覧(たちばなあけみ)
                 (橘曙覧歌集・37)

(ゆうけぶり きょうはきょうのみ たてておけ あすの
 たきぎは あすとりてこん)

意味・・夕煙を今日は今日だけ立てておこう。明日の
    薪は、また明日採ってこよう。

    日記を詳細に記していたが、煩わしくなり怠
    るようになった。罪悪感に捕らわれず、良く
    も悪くも自分の心の向かうままに従おう、と
    いう気持の時に詠んだ歌です。

 注・・夕煙=夕飯を炊く煙。

作者・・橘曙覧=1812~1868。越前福井の紙商の長男。
     早く父母に死別し、家業を異母弟に譲り隠
     棲(いんせい)。本居宣長の高弟の田中大秀
     に入門。「独楽詠」、「信濃夫舎歌集」。