われが身に故郷ふたつ秋の暮れ
                吉分大魯(よしわけたいろ)
                  (蘆陰句選)

(われがみに ふるさとふたつ あきのくれ)

前書・・国を辞して九年の春、都を出て一とせの秋。

意味・・故郷徳島を離れてすでに九年にもなり、その
    なつかしさは当然のことであるが、住み慣れ
    た京都を出て一年たった今となってみると、
    その京都へのなつかしさもひとしおのもので、
    秋の暮にしみじみと感慨にふけり、感じやすく
    なっている自分の心には、二つながらともに
    なつかしい故郷である。

 注・・秋の暮=秋の終わり、秋の夕べ。ここでは秋
     の夕べの意。

作者・・吉分大魯=1730~1778。阿波国(徳島県)の藩士。
     俳諧を好み職を辞して京都に上り蕪村に学ぶ。
     句集に「蘆陰(ろいん)句選」