難波潟 みじかき芦のふしの間も 逢はでこの世を
過ぐしてよとや
                伊勢(いせ)
           (新古今集・1049、百人一首・19)

(なにわがた みじかきあしの ふしのまも あわで
 このよを すぐしてよとや)

意味・・難波潟の芦の、その短い節と節の間のような、
    ほんのわずかな間も逢わないまま、私にこの
    世を終えてしまえと、あなたは言うのでしょ
    うか。

    実ることのない恋をしてしまった自分自身の
    人生が、いかにも痛ましいものとして見つめ
    ています。

 注・・難波潟=大阪湾の一部。「難波」は現在の大
     阪市やその周辺の古称。
    芦=イネ科の多年草。水辺に自生し、高さは
     2~4mになるが、節と節との間は短い。
    この世=男女の仲、人生、世間。ここでは
     男女の仲から人生の意に広がっている。
    過ぐしてよ=過ごしてしまえ。「てよ」は
     完了の助動詞「つ」の命令形。
    とや=「とや言ふ」の略。というのか。

作者・・伊勢=877~938。伊勢守藤原継陰の娘。代表
     的な女流歌人。