世の中の うけくに秋の 月を見て 涙くもらぬ 
よはぞすくなき
         花山院師兼(かやまいんもろかね)
            (新葉和歌集・12)

(よのなかの うけくにあきの つきをみて なみだ
 くもらぬ よわぞすくなき)

意味・・世の中のつらさに秋の月を見て、悲しみの
    為に涙が曇らぬ夜半の少ないことだ。

    南北朝時代の対立で、敗者の思うにまかせ
    ぬ世の憂さを月をからめて詠んだ歌です。

    憂さ(つらさ)もいろいろ、その一つ。

    長き夜や心の鬼が身を責める  一茶
     (意味は下記参照)

 注・・うけく=憂けく。憂きこと、つらさ。
    よは=夜半。夜中。

作者・・花山院師兼=生没年未詳。1370年頃の人。
     南北朝期の歌人。

参考句です。

長き夜や 心の鬼が 身を責める   
                 一茶(いっさ)

(ながきよや こころのおにが みをせめる)

意味・・いたらない自分の醜態(しゅうたい・恥ず
    べく事)が自己嫌悪となって、一人になっ
    た夜、心の中から小さな鬼が立ち上がって
   「お前バカだなあ、なぜあんなアホウな事を
    するのだ」と攻め立てる。
 
    一茶は「心ない自分の行いによって人が傷
    ついた」と感じ、その傷ついた相手の身に
    なって「なぜ傷をつけたのだ」と加害者に
    なった自分を責めて詠んだ句です。

 注・・心の鬼=良心。