こととはば ありのまにまに 都鳥 みやこのことを 
我にきかせよ
            和泉式部(いずみのしきぶ)
              (後拾遺和歌集・509)

(こととわば ありのまにまに みやこどり みやこの
 ことを われにきかせよ)

意味・・私がものを尋ねたならば、都鳥よ、ありのままに
    都のことを私に聞かせておくれ。

    夜、都鳥が鳴いたので詠んだ歌です。

    参考歌です。

    名にし負はばいざこととはむ都鳥我が思ふ人は
    ありやなしやと  (意味は下記参照)

 注・・ありのまにまに=あるままに。
    都鳥=シギ目ちどり科の鳥、30cm程の大型の鳥。

作者・・和泉式部=生没年未詳。1000年前後に活躍した人。
     「和泉式部日記」「和泉式部集」。

参考歌です。

名にし負はば いざ言問はむ 都鳥 わが思ふ人は 
ありやなしやと
            在原業平(ありはらのなりひら)
              (古今集412、伊勢物語・9)

(なにしおわば いざこととはむ みやこどり わがおもふ
 ひとは ありやなしやと)

意味・・都という名を持っているのならば、さあ尋ねよう、
    都鳥よ。私の思い慕っている人は生きているのか、
    いないのかと。

    流浪の旅をする業平らが隅田川に着いて、舟の
    渡し守から見知らぬ鳥の名を聞いて詠んだ歌です。
    都鳥という名に触発され、都にいる妻への思いが
    急激にに高まったものです。

 注・・あり=生きている、健在である。

作者・・在原業平=~825。六歌仙の一人。伊勢物語の
     主人公。