おもひたつ なには堀江の みおつくし しるしなくては
あはじとぞ思ふ
           木下幸文(きのしたたかふみ)
       (類題亮亮遺稿・るいだいさやさやいこう)

(おもいたつ なにわほりえの みおつくし しるし
 なくては あわじとぞおもう)

意味・・難波の堀江に澪標(みおつくし)が立つように思い
    立って、澪標の目印ならぬ身を尽くした成果が無いままでは、
    故郷の人々には二度と逢うまいと思う。

    月性の詩の志と同じです。

    男児志を立てて郷関を出づ
    学もしならずんば死すとも帰らず
    骨を埋む何ぞ墳墓の地を期せんや
    人間いたるところ青山あり

 注・・おもひたつ=決意する意。
    なには=難波。現在の大阪市の一帯。
    みおつくし=澪標。海や川に立て、通う船に水路
     や位置を示した杭。「身を尽くす」を掛ける。
    しるし=航路の標識の「しるし」に成果の意の
     「しるし」を掛ける。

    月性=1817~1858。尊王攘夷派の僧。吉田松蔭と
     親交。
    郷関=郷里。
    墳墓の地=祖先の墓のある地、故郷。
    青山=墓となる地。

作者・・木下幸文=1779~1821。農民の出身。香川香樹の
     門人。家集「貧窮百首」「類題亮亮遺稿」。