名を聞けば 昔ながらの 山なれど しぐるる秋は
色まさりけり
            源順(みなもとのしたがう)
              (拾遺和歌集・198)

(なをきけば むかしながらの やまなれど しぐるる
 あきは いろまさりけり)

意味・・名を聞くと、昔ながら変ることのない、長等山
    ではあるけれど、時雨が降る秋は、一段と色が
    まさることだ。

    不変の長等山が、美しく紅葉した景色を詠んで
    います。

 注・・ながら山=「長等山」と「昔ながら」を掛ける。
     長等山は滋賀県大津市の三井寺の裏山。
    しぐるる=時雨るる。秋から冬にかけて降った
     り止んだりする雨、が降る。

作者・・源順=911~983。従五位・上能登守。万葉集を
     読解する。「後撰和歌集」の撰者。