老いぬとて 松は緑ぞ まさりける わが黒髪の
雪の寒さに
           菅原道真(すがわらのみちざね)
             (新古今和歌集・1694)

(おいぬとて まつはみどりぞ まさりける わが
 くろかみの ゆきのさむさに)

意味・・老いてしまったというので、松は、ますます緑を
    深くしていることだ。私は、自分の黒髪が雪のよ
    うに白くなって、寒々とした思いでいるのに。

 注・・わが黒髪の雪の寒さに=自分の黒髪が、嘆きの為
    に雪のように白髪に変り、寒々とした思いでいる
    のに。

作者・・菅原道真=845~903。贈正一位太政大臣。藤原時平
     の讒言(ざんげん)で太宰権師(だざいごんのそち)
     に左遷され、大宰府に配流される。配所で2年後
     に没する。当代随一の漢学者。