そのかみの 人はのこらじ 箱崎の 松ばかりこそ 
われをしるらめ
            中将尼(ちゅうじょうあま)
            (後拾遺和歌集・1130)

(そのかみの ひとはのこらじ はこざきの まつばかり
 こそ われをしるらめ)

詞書・・幼くて父の供で筑前の国にいまして、年がたって
    から、成順(なりのぶ)が筑前の国の守になってお
    りましたので、下向して詠んだ歌。

意味・・昔、幼い時に会った人は今は一人も残っていまい。
    この箱崎の松樹千年といわれる松だけが、年老い
    た私を知っているだろう。

 注・・そのかみ=昔、過去。
    人はのこらじ=人は亡くなって残っていない。
    箱崎=福岡市大字箱崎。ここに箱崎宮がある。
    成順(なりのぶ)=高階成順。作者の子。

作者・・中将尼=生没年未詳。筑前守高階成順の母。