いそのかみ 古き都を 来て見れば 昔かざしし 
花咲きにけり
             読人知らず
            (新古今和歌集・88)

(いそのかみ ふるきみやこを きてみれば むかし
 かざしし はなさきにけり)

意味・・石上(いそのかみの)古い都の跡を来て見ると、
    昔、その都の大宮人達が、髪や冠に挿して飾っ
    た花が、色も変らずに咲いていることだ。

 注・・いそのかみ=石上。奈良県天理市布留町一帯の
     地。「古き」の枕詞。
    古き=「布留」を掛ける。

参考としての漢詩です。

平城(なら)を過ぎる   菅三品(かんさんぽん)

緑草(りょくそう)は如今(いま)麋鹿(びろく)の苑(その)
紅花(こうか)は定めて昔の管弦の家

意味・・新緑の青草の丘のほとり、今は鹿の遊ぶ苑と
    なりはてているが、紅の花の咲くあたりは、
    さだめし、あおによし奈良の都のありし日に、
    管弦を奏した家の跡でもあったであろう。

 注・・麋鹿(びろく)=大鹿と小鹿。