信濃路の おぎその山の やま桜 またも来て見む
ものならなくに
               賀茂真淵(かものまぶち)
               (賀茂翁家集)

(しなのじの おぎそのやまの やまざくら またも
 きてみん ものならなくに)

意味・・信濃のお木曽の山に咲いている山桜よ、私は
    再びここへ来て見るということはないことで
    あろう。

    よい景色を見るとそれを惜しむ心から、こう
    した景色は生涯にまたと見られるかどうか分
    からない、それが家遠い旅であればいっそう
    のことだ、という気持を詠んでいます。

 注・・信濃路=信濃に行く路。ここでは信濃の意。
    おぎそ=地名で木曽または小木曽。
    ならなくに=・・でないのだから。

作者・・賀茂真淵=1697~1769。本居宣長をはじめ多
     くの門人を育成。「賀茂翁家集」。