香具山と 耳成山と 闘ひし時 立ちて見に来し
印南国原
          中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)
          (万葉集・14)

(かぐやまと みみなしやまと あいしとき たちて
 みにこし いなみくにはら)

意味・・ああ、ここが、香具山と耳成山とが争った時、
    阿菩大神(あぼのおおかみ)が立って、見に来た
    という印南国原だ。

   大和三山の妻争いの伝説を歌ったもの。大和平野
   には香具山(男山)・畝傍(うねび)山(女山)・耳成
   山(男山)が向い合い、この三山が妻争いをしたと
   いう伝説。阿菩大神が仲裁に来たという。
   神代の時代からこんなふうであり、昔もそうだか
   ら、今の世でも妻を求めて争うものだと嘆いた歌。

作者・・中大兄皇子=後の天智天皇。